GLDを売却した話|含み益の大きい金を「利確」ではなく「リバランス」で手放した理由

GLDを売却した話|「利確」ではなく「リバランス」で手放した理由 貴金属(金・銀・プラチナ)

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この記事の要点

  • 金ETFのGLDを、金価格が史上最高値圏のタイミングで売却した
  • 動機は利確ではなく、膨らみすぎた金・銀比率を戻すリバランス
  • 「積立=コア、ETF=調整用」と最初から役割を分けていたから迷わず実行できた

金が史上最高値を更新した日に、私はGLDを売りました

2026年前半、金価格は1グラム29,815円という史上最高値を記録しました。世の中では「金、すごいことになってるね」という会話が増えていた頃です。私はちょうどこのタイミングで、保有していた金ETFの一つ、SPDRゴールド・シェア(GLD)を売却しました。

「金が最高値のときに売った」と聞くと、絶妙なタイミングで利確した人のように聞こえるかもしれません。でも実際の動機は、値上がり益を確定させたかったからではありません。資産全体に占める金・銀の比率が、想定していたよりも大きくなりすぎていたからです。いわゆる「リバランス」のための売却でした。

この記事では、なぜ含み益の大きい資産をあえて売ったのか、その判断をどう下したのか、そして売るときにどんな心理的な迷いがあったのかを、正直に書いておこうと思います。

私の金投資の構造:最初は積立、その後はETF中心に

まず前提として、私の金・銀への投資は一つの方法だけではありません。金・銀への投資を5年続けたら資産の13%になった話でも書きましたが、私は主に次の3つの形で金を保有しています。

  • SBI証券の金・銀・プラチナ口座での積立(2021年開始、1年弱で終了。ただし売却はせずそのまま保有)
  • IAU(iシェアーズ・ゴールド・トラスト)・1540(純金上場信託)のETF(積立をやめて以降の買い増しはこちらが中心)
  • GLD(SPDRゴールド・シェア)のETF(現在は売却済み)

この3つには、私の中で明確な役割分担があります。積立で買った分は「最初に仕込んだコア部分」として基本的に動かさず、ETFは「比率がずれたときに機動的に調整するための部分」です。積立の分を売ったり買い増したりして比率を調整することはなく(というより積立自体もう何年も前にやめています)、調整が必要になったときに動かすのは基本的にETF側、というのが私のやり方です。

GLDはこのETF枠の一つとして保有していました。IAU・1540と同じ「金価格に連動するETF」ですが、今回リバランスで手放す対象として選んだのはGLDでした。

「上がりすぎている」をどう判断したか

正直に言うと、私には「資産の何%を超えたら売る」というような、きっちりした数値ルールはありません。今回GLDを売る決め手になったのは、チャートを見て「さすがにここまで上がったか」と感じたことでした。

金価格は2021年の積立開始時点で1グラム7,000円前後でした。それが2026年前半には29,815円まで上昇しています。5年で4倍以上です。この上昇スピードをグラフで見たとき、「この資産クラスだけが極端に膨らんでいる」ことが視覚的にはっきりわかりました。

ポートフォリオ全体を見ても、金・銀の比率は2024年8月の株暴落を境に意図的に引き上げてきた経緯があります。あの日、株が軒並み沈む中で金だけが底堅かった実体験から、「守りの資産」としての金・銀の比率を積極的に高める方針に転換しました(詳しくは2024年8月5日の歴史的暴落で一晩850万円減った話で書いています)。

ただ、意図的に増やしてきたとはいえ、金価格自体の急騰によって「増やしたい比率」を超えて「増えすぎた比率」になっていたのも事実でした。ここが今回のリバランスの出発点です。

含み益の大きい資産を売るのは、正直迷いがあった

頭では「比率が偏りすぎたら戻す」というルールを理解していても、実際に含み益の大きいポジションを売る場面になると、素直に手が動くわけではありませんでした。

「まだ上がるかもしれないのに、ここで売ってしまっていいのか」という迷いは正直ありました。特に金は2021年の購入時点でも「もう高い」と言われていた資産です。それでも4倍になったという実績を見てしまうと、「次の上昇を逃すのでは」という感覚が頭をよぎります。

これは株でもFXでも同じ心理だと思います。含み損を抱えたポジションを切るのが辛いのと同じくらい、あるいはそれ以上に、含み益が乗ったポジションを自分から手放すのは心理的なハードルがあります。「もっと増えたはずの利益」を自分の判断で確定させてしまうことへの抵抗感です。

いとこん
いとこん

売却ボタンを押す指が、正直一瞬止まりました。含み損を切るときとはまた違う種類の勇気がいるんだと、今回初めて知りました。

それでも売却に踏み切れたのは、「これは利確ではなく、比率を戻すための作業だ」と自分の中で位置づけを整理できたからです。値上がりを見て気持ちよく利益を確定させる売買ではなく、機械的な調整の一環として淡々と実行する。この線引きがあったから、迷いはあっても最終的には実行できました。

売った後、何を変えて何を変えなかったか

GLDを売却した後にやったことはシンプルです。金・銀という資産クラス自体を減らしたわけではなく、GLDという一つのETFを手放しただけで、それ以前に積み立てた分やIAU・1540はそのまま保有を続けています。

売却前売却後
SBI証券 金・銀積立(当時の保有分)保有保有継続(変更なし)
IAU(金ETF)保有保有継続
1540(純金上場信託)保有保有継続
GLD(金ETF)保有売却
銀(積立の保有分・iシェアーズ シルバー・トラスト)保有保有継続

つまり「金をやめた」のではなく、「複数持っていたETFの一つを整理して、資産全体の比率を元に戻した」というのが正確な表現です。積立で買った分もIAU・1540も持ったままです。金という資産クラスへの信頼が揺らいだわけではまったくありません。

この「一部だけ売る」という感覚は、リバランスの本質だと思っています。ゼロにするのでも、増やし続けるのでもなく、比率を元の状態に近づけるための微調整です。

売却するときにもう一つ意識したのは税金です。金ETFの売却益は株式等と同様、申告分離課税(税率20.315%)の対象になります。含み益が大きいポジションほど、売った瞬間に「増えた分の2割は税金で持っていかれる」という現実を意識することになります。この事実も、売るかどうかを迷わせる一因でした。それでも比率のズレを放置するリスクの方が大きいと判断し、税金分を差し引いても実行する価値があると考えました。

いとこん
いとこん

税金で2割持っていかれると分かっていても、比率が崩れたまま放っておく方が怖い。この優先順位だけは、18年間ずっと変わっていません。

私にとってのリバランスのタイミング・頻度

「リバランス タイミング」「リバランス やり方」といった検索をする方は多いと思いますが、正直に言うと私は「毎月何日」「年に1回」というような定期的なスケジュールでリバランスをしているわけではありません。私がやっているのは、価格の急騰・急落によって特定の資産クラスの比率が明らかにずれてきたと感じたときに動く、いわば「閾値型」のリバランスです。

これにはメリットとデメリットがあると思っています。メリットは、市場が大きく動いたタイミングでしか動かないので、頻繁な売買による手数料や手間がかからないこと。デメリットは、「明らかにずれた」という判断が完全に感覚的で、人によってはブレやすいということです。

もし機械的にやりたい方であれば、「資産クラスの比率が目標から±5%乖離したら調整する」のような数値ルールを決めておく方が再現性は高いと思います。私自身は、月次で資産全体の記録をつけているので、その記録を見返したときに「ここまで増えたか」と気づく、というやり方に落ち着いています。

今振り返って、この判断は正しかったのか

この記事を書いている時点では、まだ結果を評価できるほどの時間は経っていません。金価格がこの先も上がり続ければ「早すぎる売却だった」ことになりますし、下がれば「良いタイミングだった」ことになります。

ただ、私がこの判断で大事にしたいのは、結果論での正解・不正解ではなく、「その時点で自分が決めていたルールに沿って動けたか」です。含み益の大きさに気持ちが引っ張られて何もできなかったとしたら、それは判断を放棄したのと同じだと思っています。上がっても下がっても、比率という物差しで淡々と調整する。この積み重ねが、2024年8月の暴落のときに金がクッションになってくれた経験にもつながっていると感じています。

「もう高い」と言われ続けてきた5年間、それでも金を買い続けてきた話(途中で積立からETFに買い方を変えた経緯も含めて)は金価格が史上最高値圏でも私が金を買い続ける理由に書きました。買い続けることと、比率が偏ったら一部を売ることは、私の中では矛盾しません。どちらも「決めたルールに沿って淡々とやる」という同じ姿勢の表裏です。

これからリバランスを考える人へ

もしあなたが今、含み益の大きい資産を前にして「売るべきか、持ち続けるべきか」で迷っているなら、私からお伝えできるのは次の2つです。

一つ目は、「利確」と「リバランス」を自分の中で区別しておくこと。値上がりが気持ちよくて売りたくなっているのか、それとも資産全体のバランスが崩れているから調整したいのか。この動機の違いをはっきりさせておくと、後から振り返ったときに自分の判断を評価しやすくなります。

二つ目は、複数の器(積立・ETFなど)に分けて持っておくこと。私の場合、積立というコア部分に手をつけずに、ETFという調整用の部分だけを動かせたのは、最初から役割を分けて保有していたからです。すべてを一つの形で持っていたら、今回のような「一部だけ整理する」という選択肢はもっと難しかったと思います。

まとめ:リバランスは「売る勇気」より「区別する冷静さ」

GLDを売った経験を振り返って一番強く感じるのは、リバランスに必要なのは「売る勇気」というよりも「今の売買が利確なのか調整なのかを区別する冷静さ」だということです。含み益が大きいほど、この区別は感情に押し流されやすくなります。

私の資産配分の全体像は現在のポートフォリオ全公開で公開しています。あわせてどうぞ。

この記事を書いた人

いとこん(@itoconn_oj3)。2008年、リーマンショックの年に100万円で投資を開始。翌年にはFXの強制ロスカットで元本の6割を失い、1年半投資から離れたことも。それでも退場しなかった結果、18年で資産は約7,900万円になりました。

プロフィール 投資歴18年の全記録

※本記事は個人の投資体験の記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。手数料・税制等の詳細は各社の公式情報をご確認ください。投資は自己責任でお願いします。詳しくは免責事項をご覧ください。

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