私はFX歴15年で、通算では+106万円のプラスでした。ただ、その内訳のすべてが「世界戦略3ペア」だったわけではありません。もう一つ、長く付き合った通貨ペアがあります。メキシコペソ/円とトルコリラ/円、いわゆる高金利通貨のスワップ投資です。
FXをやめた理由では税制の話を中心に書きましたが、今回はこの2つの通貨との付き合い方と、なぜ手放すことになったのかを振り返ります。FXというと値動きを当てにいく短期売買のイメージが強いかもしれませんが、私にとってのメキシコペソ・トルコリラは、むしろ配当や利息に近い感覚で長く保有する対象でした。
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この記事の要点
- メキシコペソ・トルコリラという高金利通貨を、低レバレッジ・少額で長く保有していた
- 2018年のトルコリラショックも、レバレッジを抑えていたため大きな痛手にはならなかった
- 最終的に手放したのは、2024年に進んだ円高(ペソ安)がきっかけ
なぜメキシコペソとトルコリラを選んだのか
トラリピを中心にFXを続けてきた中で、主力の通貨ペアとは別に、政策金利の高い通貨にも少しずつ資金を置いていました。その代表がメキシコペソとトルコリラです。どちらも先進国通貨に比べて政策金利が高く、ポジションを持っているだけで毎日スワップポイントが積み上がっていく仕組みが魅力でした。
私がメキシコペソを買い始めたのは、1ペソ=8.9円だった頃です。当時の水準を覚えているのは、それだけ「高い」時期に入ったという印象が強く残っているからだと思います。値動きそのものを当てにいくというより、金利差を地道に積み上げる目的で持っていました。
ポジションの大きさは常に控えめにしていました。世界戦略3ペアと同じく、ここでも「レバレッジは低く、金額は痛くない範囲で」という私のFXの基本方針を貫いています。高金利通貨は値動きが荒くなりやすいという認識があったからです。
この2つの通貨は、性格がかなり違いました。私の実感を簡単な表にまとめておきます。
| メキシコペソ | トルコリラ | |
|---|---|---|
| 魅力 | 比較的安定した値動きで、スワップを積み上げやすい | 政策金利がさらに高く、スワップの効率が良い |
| リスク | 資源国通貨・カリー通貨としての急変動リスク | 政治・経済情勢による急落リスクが大きい |
| 私の付き合い方 | 長期でのんびりスワップ狙い | 低レバレッジでスワップ狙い、値動きは深追いしない |
2009〜2012年頃に本格化させたトラリピ中心のFXでは、年15〜30万円ほどの利益を積み上げていましたが、この中にはメキシコペソやトルコリラのスワップ収入も含まれています。値動きで一気に稼ぐタイプの通貨ペアではなく、あくまで「毎日少しずつ積み上がる利息」のような感覚で保有していました。
トルコリラショック(2018年)の影響はあったのか
高金利通貨のスワップ投資を語るうえで避けて通れないのが、2018年のトルコリラ急落、いわゆるトルコリラショックです。トルコの通貨危機をきっかけにリラは対円で暴落し、この通貨で大きなレバレッジをかけていた個人投資家の中には、強制ロスカットで大きな損失を被った人が少なくなかったと聞きます。
私自身もトルコリラを保有していましたが、幸い低レバレッジ・少額だったため、致命的な影響は受けませんでした。含み損は広がりましたが、強制ロスカットに追い込まれるような水準ではなく、スワップ収入を積み上げながらやり過ごすことができました。
当時のニュースで「トルコリラが一晩で急落」という報道を見たときは、正直ひやっとしました。同じ高金利通貨を保有している以上、他人事ではありません。ただ自分のポジションを確認したとき、レバレッジを抑えていたおかげで含み損の額が想定の範囲内に収まっていることが分かり、慌てて損切りする必要はないと判断できました。この「確認した上で落ち着いて判断できる」という余裕こそ、低レバレッジ運用の一番の効能だったと思います。

2009年に米ドル/円で強制ロスカットを経験していたので、高金利通貨ほどレバレッジは抑える、というのが体に染みついていました。トルコリラショックのときにそれが効きました。
2009年の強制ロスカットは、後から気づいたら口座が終わっていたという受け身の失敗でした。その反省があったからこそ、値動きが荒くなりやすい高金利通貨には最初から低レバレッジで臨む、という判断ができていたのだと思います。
なぜ手放すことになったのか
メキシコペソ・トルコリラのポジションを最終的に閉じたきっかけは、円高(ペソ安)の進行でした。長年積み上げてきたスワップ収入も、為替差損が膨らめば意味が薄れてしまいます。含み益が心地よく感じられる水準ではなくなったタイミングで、無理に持ち続けず手仕舞う判断をしました。
振り返ると、このタイミングは2024年8月の歴史的暴落とも重なります。あの暴落の背景には、それまで積み上がっていた円キャリー取引の巻き戻しがありました。低金利の円を借りて高金利通貨で運用する取引が、金利差の縮小や相場の急変を機に一斉に解消され、円高と世界的な株安が同時に起きた局面です。メキシコペソのような高金利通貨は、まさにこの円キャリー取引の主役の一つでした。私が長年付き合ってきた通貨が、自分の資産にも影響する形で巻き戻りの波に巻き込まれた、というわけです。
同じ時期に、世界戦略3ペアも全解放し、FX自体から距離を置く決断をしています。高金利通貨のスワップ投資も、税制の非対称性も、円キャリーの巻き戻しも、振り返れば同じ「FXを終える」という一つの決断に集約されていました。
長年スワップを積み上げてきた通貨だからこそ、手放す決断には少し迷いもありました。ただ、為替差損が積み上がったスワップ収入を上回ってしまえば、それ以上保有し続ける理由は薄くなります。「積み上げてきたものを手放すのはもったいない」という感情よりも、「今のレートで見てまだ持つ意味があるか」を優先しました。
低レバ・少額という運用スタイルが守ってくれたもの
この経験を通して改めて感じたのは、高金利通貨のスワップ投資自体が悪いわけではなく、レバレッジと金額のコントロールこそが生死を分けるという当たり前の事実です。トルコリラショックのときにレバレッジを上げていたら、私も強制ロスカットの当事者になっていたはずです。
「金利が高いから」という理由だけで持ち高を増やすのではなく、「この通貨が急落したらどこまで耐えられるか」を先に決めておく。これは高金利通貨に限らず、株や暗号資産など値動きの荒い資産全般に通じる考え方だと思っています。

金利の高さに惹かれるほど、実は値動きも荒いことが多いです。「この金額なら急落しても平気」というラインを先に決めておくのが、私なりの付き合い方でした。
他の高金利通貨には手を出さなかった理由
高金利通貨と呼ばれるものは、メキシコペソやトルコリラ以外にも南アフリカランドやブラジルレアルなど、いくつも存在します。それでも私がこの2通貨に絞っていたのは、単純に「これ以上通貨ペアを増やしても管理しきれない」という現実的な理由からでした。
世界戦略3ペア・メキシコペソ・トルコリラ、この時点ですでに5つの通貨ペアを見ることになります。兼業投資家として本業をこなしながら管理する以上、通貨ペアの数を絞るのも立派なリスク管理の一つだと考えていました。目新しい高金利通貨が話題になるたびに手を広げていたら、どれか一つの急変に気づくのが遅れていたかもしれません。
今、高金利通貨のスワップ投資をどう見ているか
現在はメキシコペソもトルコリラも保有していません。FX自体を2024年にやめてからは、資金は株式や貴金属に振り向けています。ただ、高金利通貨のスワップ投資を否定的には見ていません。金利差という分かりやすいリターン源があり、実際に長年スワップ収入を積み上げられた経験は、私にとって悪くない投資でした。
もし今後また高金利通貨に触れることがあるなら、当時と同じく低レバレッジ・少額を徹底すると思います。金利の高さは魅力ですが、それはリスクの裏返しでもある、というのがこの通貨たちから学んだ一番の教訓です。
高金利通貨のスワップ投資に興味を持つ人へ一つだけ伝えたいのは、「金利が高い=おいしい」と単純に考えないでほしいということです。政策金利が高い国ほど、インフレ率が高かったり政治・経済情勢が不安定だったりすることが多く、それが通貨の急落リスクとして跳ね返ってきます。スワップ収入は積み上がるまでに時間がかかりますが、為替差損は一瞬で膨らみます。この非対称性を先に理解したうえで、レバレッジと金額を決めることが大切だと感じています。
まとめ
メキシコペソとトルコリラという2つの高金利通貨との付き合いは、スワップ収入という地道なリターンと、値動きの荒さというリスクの両方を体感させてくれました。2018年のトルコリラショックを大きな傷なくやり過ごせたのは低レバレッジのおかげであり、最終的に手放したのは2024年の円高(ペソ安)、そしてその背景にあった円キャリー取引の巻き戻しがきっかけでした。金利の高さだけを見て飛びつくのではなく、急落したときの耐性を先に決めておく。これが15年のFX人生で高金利通貨から学んだことです。
今振り返ると、この2通貨との付き合い方は、私が今も貴金属や株式で実践している「守りを固めたうえで、攻めの部分は小さく持つ」という考え方の原型だったのかもしれません。通貨は変わっても、資産を減らさないための基本姿勢は18年間ずっと同じだったように思います。
投資から距離を置きたくなった瞬間について、投資から距離を置きたくなった3つの瞬間にも書きました。あわせてどうぞ。
この記事を書いた人
いとこん(@itoconn_oj3)。2008年、リーマンショックの年に100万円で投資を開始。翌年にはFXの強制ロスカットで元本の6割を失い、1年半投資から離れたことも。それでも退場しなかった結果、18年で資産は約7,900万円になりました。
※本記事は個人の投資体験の記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。手数料・税制等の詳細は各社の公式情報をご確認ください。投資は自己責任でお願いします。詳しくは免責事項をご覧ください。


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