貴金属が上がっています。それも、かなりの勢いで。
2021年から金・銀・プラチナを持っている私にとっては、含み益が膨らんでいく局面です。こういうとき、ふつうに考えれば「利益確定をどうするか」という話になります。
ところが私が実際にやったのは、逆でした。金・プラチナ・パラジウムの上場信託を買い増しました。
そして銀だけは様子見にしました。2026年にいちばん派手に上がったのが銀だったにもかかわらず、です。
何を見て、そう分けたのか。数字と一緒に書きます。
この記事の要点
- 高騰局面で利確ではなく買い増しをした。金・プラチナ・パラジウムの上場信託
- 判断の道具は週足チャート。移動平均線にタッチして上向きに転じたのを見て買った
- 銀だけ様子見にした。他の貴金属と比べて上昇率があまりに高かったから
- 金は2021年の年平均6,402円/gが2025年に17,302円/gまで来た(税抜・約2.7倍)
- 2011年の震災の記事で書いた「上昇トレンドが出たら入る」を、5年越しに実行した形になった
いま貴金属に何が起きているのか
まず数字を置きます。田中貴金属の店頭小売価格(税込)です。
| 2026年8月21日 17:00 | 店頭小売価格 | 前日比 |
|---|---|---|
| 金 | 25,964円/g | +537円 |
| プラチナ | 10,876円/g | +508円(約+4.9%) |
| 銀 | 409.97円/g | +21.78円(約+5.6%) |
1日でプラチナが約5%、銀が約6%動いています。貴金属は株より値動きが落ち着いていると思われがちですが、いまはそういう相場ではありません。
金の直近1か月も急です。8月5日の22,932円が1か月の安値で、8月21日は25,571円。16日で約11.5%上がっています。
もっと長い目盛りで見ると、上がり方の異常さがはっきりします。
| 年 | 年平均 | 年間最高 | 年間最安 |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 6,122円 | 7,063円 | 5,214円 |
| 2021年 | 6,402円 | 6,897円 | 5,930円 |
| 2022年 | 7,649円 | 8,154円 | 6,680円 |
| 2023年 | 8,834円 | 9,935円 | 7,909円 |
| 2024年 | 11,718円 | 13,784円 | 9,472円 |
| 2025年 | 17,302円 | 22,844円 | 13,433円 |
田中貴金属の参考小売価格(税抜・円/g)です。私が買い始めた2021年の年平均6,402円が、2025年には17,302円。約2.7倍です。2025年は1年のうちに13,433円から22,844円まで動いていて、年間の値幅だけで1.7倍あります。
体感でいうと、上がった順番はこうでした。まず金が動いて、少し遅れて銀が爆発的に上がって、そのあとプラチナとパラジウムが来た。これは私が見ていた印象なので、日付までは特定できません。
私がここまでにやってきたこと
今回の判断を書く前に、これまでの経緯を短くまとめます。
私が金・銀・プラチナを買い始めたのは2021年です。当初は純金積立という買い方で、毎月一定額を積み立てていました。ただしこの積立は1年弱でやめています。ETFと比べて割高だと感じたことと、売買のタイミングを自分で選べないことが理由でした。プラチナの積立も同じく1年弱でやめました。
積み立てた分は売らずに持ったまま、新規の購入だけを上場信託に切り替えた形です。金貨のような現物は持っていません。
その後、含み益が大きくなった金のETFを一部売却しています。ただしこれは「高くなったから利確した」のではなく、比率が膨らみすぎたのを戻すためのリバランスでした。値上がりを喜んで売ったわけではありません。
つまり私の貴金属の持ち方は、ここまで「積立をやめて上場信託に移し、増えすぎたら戻す」という、わりと退屈な運用でした。
それでも今回は、上がっている最中に買った
今回やったのは、その延長ではありません。
金・プラチナ・パラジウム、それぞれの上場信託を買い増しました。積立の自動購入でもなければ、比率を戻すためのリバランスでもありません。自分でタイミングを決めて、買いに行きました。
高値圏で買い増すことに抵抗がないわけではありません。ただ、金については以前から「高値でも買う」と書いてきました。今回はそこにプラチナとパラジウムが加わった形です。
判断に使ったのは週足チャートだった
何を見て決めたのかというと、週足のチャートです。
私がチャートに出している線は、ずっと同じ設定で固定しています。
- 移動平均線:5・25・75・200の4本
- MACD:12と26
特別なものは何も使っていません。私が使っている証券会社のチャート画面を開いたときに最初から並んでいるような、ごく標準的な組み合わせです。銘柄ごとに設定を変えたりもしません。
今回見たのは、そのうちの75の移動平均線でした。価格がこの線にいったんタッチしてから、上昇に転じたのを見て「買い」と判断しました。上がり続けている最中に飛び乗ったのではなく、一度下まで戻ってきて、そこから向きが変わったところ、という順番です。
いっぽうMACDのほうは、上昇クロスしそうな形にはなっていましたが、まだ判断できる位置ではありませんでした。つまり今回は、MACDの確認を待たずに移動平均だけで買っています。2つ出しているうちの片方しか根拠になっていない、というのが正確なところです。
ここは正直に書いておきますが、これは私が勝てる手法を持っているという話ではありません。この買い方がうまくいく保証はありませんし、今回の判断が正しかったかどうかも、いま時点では分かりません。数か月後に外していた、という結果になる可能性は普通にあります。
それでもチャートを見たのは、「なんとなく上がりそうだから」で買いたくなかったからです。上昇局面はいちばん気持ちが緩む場面で、理由を持たずに買うと、あとで自分が何をしたのか説明できなくなります。証券会社の人気ランキングをそのまま買っていた頃に戻りたくない、という気持ちのほうが強かったです。
いちばん上がった銀は、様子見にした
そして今回いちばん自分らしいと思っているのが、銀を買わなかったことです。正確に言えば「買わないと決めた」のではなく、様子見にしたという状態です。
理由は単純で、他の貴金属と比べて上昇率があまりにも高かったからです。銀そのものの過去と比べたわけではなく、同じ時期の金・プラチナ・パラジウムと並べて見たときに、銀だけ明らかに突出していました。
先ほど書いたとおり、2026年の体感では銀がいちばん爆発的に上がりました。8月21日の1日だけでも約5.6%動いています。銀は金と比べて値動きが荒いというのは5年持ってきて分かっていることで、上がるときも下がるときも金より大きく振れます。
整理すると、私は同じ局面で正反対のことを同時にやっています。
- 上向きに転じたもの(金・プラチナ・パラジウム)は買う
- 同じ時期の他と比べて突出して上がったもの(銀)はいったん様子見
矛盾しているように見えますが、自分の中では一本です。上昇そのものは買う理由になるが、まわりと比べて突出した上昇は買う理由にならない。後者は、乗り遅れまいとして飛び乗るのと区別がつかなくなるからです。だから銀は、買わないのではなく、いまは手を出さずに見ています。
ここも念のため書いておくと、「突出している」の基準は私の感覚であって、何%を超えたら見送るといった数値の線を引いているわけではありません。だからこれは再現できるルールではなく、私がそう判断した、という記録です。
2011年に言っていたことを、いまやっている
書きながら気づいたことがあります。
東日本大震災のときのことを書いた記事で、私は暴落についてこう書きました。
暴落した相場が元の水準に戻るまでの間には、どこかで上昇に転じる局面が出てきます。入るとすればそのタイミングだろう、と考えています。底で買うのは自分には無理でも、上を向き始めたところなら手が出せるかもしれない。
今回やったのは、まさにこれです。底では買えない。だから向きが変わったところで買う。対象が暴落後の株ではなく高騰中の貴金属だった、という違いはありますが、判断の型は同じでした。
ただし、あの記事にはもう一段先があります。私は同じ文章の中で、その考え方を自分で否定しているんです。
上昇に転じたように見えた場面が本当の底からの上昇なのかどうかは、そのときには分かりません。私の考え方も、その程度には当てになりません。
実際、あの記事では震災のデータでその考え方を検証して、うまくいかなかったことを確認しています。2011年3月15日から4月末にかけて確かに戻りは出ましたが、そこで入っていても震災前の水準に戻るまで1年10か月かかり、途中の2011年末には震災直後より安い場面まであった。「上を向いた」ように見えても、それが本物かどうかはそのときには分からない。
それを自分で書いておきながら、今回また同じことをやっています。矛盾しているようですが、私はこれでいいと思っています。当たる方法を持っているつもりはありません。持っているのは、当たらない前提でも動ける形のほうです。外しても全体が傾かない量にしてあるから、外す前提のやり方でも実行できる。順番はそちらが先です。
私は暴落の3回(リーマン・コロナ・2024年8月)でどれも底で買えていません。4回目も買えないと思っています。底で買えない人間が、それでも動くための方法として持っているのが「向きが変わってから入る」という形なのだと、今回はっきりしました。
まとめ:高騰局面で私がやったこと
- 利確ではなく買い増しをした。金・プラチナ・パラジウムの上場信託
- 判断に使ったのは週足チャート。移動平均線にタッチして上向きに転じたのを見た
- いちばん上がった銀は様子見にした。他の貴金属と比べて上昇率が高すぎたから
- 「上昇は買う理由になるが、まわりと比べて突出した上昇は買う理由にならない」という分け方をしている
- 底で買えないぶん、向きが変わってから入る。2011年に書いたことと同じだった
最後にもう一度書いておきます。これは助言ではなく、私が何をしたかの記録です。貴金属は配当も利息も生まない資産で、価格が上がることだけが持つ理由になります。だからこそ、上がっている最中の判断はいちばん危ないところでもあります。
私の貴金属は全体のなかの一部で、これが主役になることはありません。今回の買い増しでその位置づけが変わったわけでもありません。外しても生活が変わらない量に収めているから、チャートを見て動くこともできる——という順番だと思っています。
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※本記事は私個人の記録と考えであり、特定の金融商品の購入や売却を勧めるものではありません。記載した価格は田中貴金属工業の公表値で、2026年8月21日時点のものです。貴金属は価格変動が大きく、元本が保証されるものではありません。チャートを用いた売買判断は結果を保証するものではなく、私自身の判断が正しいという主張でもありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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