2024年4月ごろ、スマホで家計簿アプリを開いたら、総資産の欄が5,000万円を超えていました。
いわゆる「準富裕層」と呼ばれる区分に、その日から入ったことになります。
正直に書きます。私はこのとき、何も感じませんでした。
うれしさも、達成感も、ありませんでした。ただ画面の数字が5,000万円台になっていて、それを見て「本当か?」と思っただけです。
毎日見ているから、超えた瞬間に気づいた
私は家計簿アプリで複数の口座をまとめて管理していて、総資産の数字をほぼ毎日見ています。だから5,000万円を超えた日も、月末にまとめて集計して気づいたのではなく、その場で分かりました。
毎日見ることには、良い面と悪い面の両方があると思っています。良い面は、自分の資産が今どうなっているかを把握していない状態にはならないこと。悪い面は、増えている日も減っている日も、同じ画面で等しく目に入ってしまうことです。
実際このあと、一晩で850万円減った日の数字も、私は同じアプリで見ることになります。
「一瞬でも準富裕層になった」のが信じられなかった
資産の階層図、いわゆる金持ちピラミッドの存在は知っていました。野村総合研究所が定期的に推計を出しているもので、区分はこうなっています。
- 超富裕層:5億円以上
- 富裕層:1億円以上5億円未満
- 準富裕層:5,000万円以上1億円未満
- アッパーマス層:3,000万円以上5,000万円未満
- マス層:3,000万円未満
2023年時点の推計では、準富裕層は約403万世帯とされています。
3,000万円を超えたときの話は投資歴15年でアッパーマス層に到達した話に書きました。そのときも「速さは変わったが生活は変わらない」という感想でした。
3,000万円に届いたのが2023年の半ば、5,000万円を超えたのが2024年の4月ごろです。2,000万円ぶんの増加に、1年かかっていません。 実感が追いつかなかったのは、この速さのせいもあると思っています。
5,000万円のときも、生活の実感という意味では同じです。ただ一つだけ違ったのは、「自分が一瞬でもこの区分に入ったのか」という、信じられない感じでした。
「一瞬でも」と書いたのは、そう感じたからです。到達したという感覚ではありませんでした。私の資産は株式やETFが中心なので、相場が動けば数字も動きます。5,000万円という線は、越えたら固定されるものではなく、出たり入ったりしうる範囲でしかない。 そのことは最初から分かっていました。
変わらなかったこと
生活は、本当に何も変わりませんでした。
買い物は今も値段を見て買います。 スーパーでもコンビニでも、価格を確認してから手に取る。この習慣が変わったことはありません。
住まいもそのままです。引っ越しも、家を買うことも検討しませんでした。車はそもそも持っていません。
外から見て「資産5,000万円の人の生活」らしきものは、私の日常のどこにもないと思います。
唯一変わったのは、仕事についての考え方だった
変わったことが一つだけあります。
会社を辞めたい、といつも考えるようになりました。
3,000万円のときには、こういう考え方はしていませんでした。5,000万円という数字を見てから、「働かないという選択肢が、理論上は存在するのかもしれない」と思うようになったのだと思います。
ただ、同時にこうも思っていました。
「完全に辞められる資産ではない」
これははっきりした認識でした。5,000万円は、辞められそうに見えて、辞められない金額です。生活費を取り崩し続ければ減っていきますし、相場が下げれば一緒に減ります。会社員としての収入があるからこそ、下落局面でも入金を続けられて、生活費を資産から抜かずに済んでいる。
「辞めたいと考えるようにはなったが、辞められないことも同時に分かっている」 — これが、私にとっての準富裕層の実感でした。増えた金額そのものより、この考え方の変化のほうが、はるかに大きな出来事だったと思います。
4か月後、一晩で850万円が消えた
2024年8月5日、日経平均が1日で4,451円下落しました。私の資産は一晩で約850万円減りました。
準富裕層と呼ばれる区分に入ってから、わずか4か月後のことです。当時の資産規模から見て、およそ15%が一晩で消えた計算になります。この日のことは2024年8月5日の歴史的暴落で一晩850万円減った話に詳しく書きました。
普通に考えれば、ここで焦るはずです。せっかく超えた5,000万円の線を、割り込んでもおかしくない下げ幅でした。
でも、私は焦りませんでした。
焦らなかった理由は、資産額ではなかった
そのとき私が考えていたのは、こういうことでした。
「1日で850万円のマイナスだが、利益はまだプラスだ」
つまり、投資に回した金額そのものは下回っていなかった、ということです。
私にとっての「元本」は、これまで投資に回してきた金額です。評価額がいくら下がっても、その線を割っていない限り、失っているのは「増えた分」であって「入れた分」ではありません。
この一点だけで、心の平穏は維持できました。
資産が5,000万円あったから落ち着いていられたのではありません。元本という基準線を割っていなかったからです。もし同じ850万円の下落で元本を割り込んでいたら、私はまったく違う反応をしていたと思います。
ただし正直に書いておくと、この物差しが使えるのは、評価額が元本の上にある間だけです。下に沈んでしまえば「まだプラスだから大丈夫」とは言えなくなります。都合のいい基準線であることは自覚しています。
そして2024年の私には、その余裕がありました。18年かけて積み上げた分が、850万円の下落を吸収できるだけの厚みになっていたからです。
2009年の私は、同じ状況で1年半退場した
なぜそう言い切れるかというと、私は元本を割ったときにどうなるかを、身をもって知っているからです。
2008年に投資を始めた翌年、私はFXの自動売買で強制ロスカットに遭いました。元本20万円が8万円になり、資産の6割を一晩で失っています。これは完全な元本割れでした。
このときの私は、850万円のときとは正反対の反応をしました。残った8万円を口座から引き上げ、1年半、投資から離れました。 金額としては12万円の損失です。2024年の850万円と比べれば、70分の1にもなりません。
それでも、12万円のほうが私を退場させました。
失った金額の大きさではなく、元本を割ったかどうかが、私の行動を決めていた。この一件はトラリピで20万円が8万円になった朝に詳しく書いています。
その後、やり方は少しずつ変えている
5,000万円を超えてから、投資に回す金額そのものは増えました。利益が出ている分、入金に回せる余裕も増えたからです。
一方で、ここ数年の株高を受けて、一部を現金化してリバランスするようにもなりました。 増えた分をそのまま株式に置き続けるのではなく、比率が偏ったら現金に戻す。元本の線を守ることと、増えた分を守ることは別の作業だと考えるようになったからだと思います。
18年分の資産推移は資産推移グラフ全公開にまとめてあります。
2年経っても、まだ同じ区分にいる
あれから2年が経ちました。2026年6月時点の総資産は約7,936万円です。
金額としては5,000万円のころより増えましたが、区分としては今も準富裕層のままです。1億円には届いていません。準富裕層の幅は5,000万円から1億円までなので、この区分はかなり広い。入ってからも長く居続けることになります。
そして、5,000万円のときに何も感じなかったのと同じように、7,900万円になった今も生活は変わっていません。買い物は、やっぱり値段を見て買っています。
まとめ:準富裕層は、到達する場所ではなかった
資産5,000万円を超えて分かったことを、3つに絞ります。
- 生活は変わらない。 買い物は今も値段を見て買っています
- 考え方は変わった。 「会社を辞めたい」と思うようになり、同時に「完全には辞められない」ことも分かった
- 暴落で焦らずに済んだ理由は、資産額ではなく元本という基準線だった
準富裕層という区分は、たどり着いて終わりになる場所ではなく、相場次第で出たり入ったりする数字の範囲でしかありませんでした。だから「準富裕層になった」という実感は、最後まで来なかったのだと思います。
もしこれから同じ数字を目指す人がいるとしたら、金額そのものより、自分がどこを基準に数字を見ているのかを先に決めておくほうが、下げ相場では効いてくるかもしれません。少なくとも私の場合は、そこだけが2009年と2024年を分けていました。
関連記事
この記事に出てくる金額の中身は、別の記事で公開しています。
- 投資歴18年の私が実際に使っている証券会社・口座 全一覧 — 5,000万円を、どの口座に分けて置いているか
- FX歴15年の最大損失は60万円|通算+106万円でも私がFXをやめた理由 — 同じ2024年に、レバレッジのある取引をやめた経緯
※本記事は私個人の記録であり、特定の投資手法や商品を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。資産額はすべて概算です。


コメント