私が生まれて初めて株を買ったのは2008年、きっかけは投資の本でもニュースでもなく、職場の先輩からもらった1枚の株主優待券でした。今日はその話を、当時の恥ずかしい失敗も含めて正直に書いておこうと思います。
投資歴18年の原点は、実はかなり偶然の出来事でした。
投資を始める前の自分:新車の頭金を払った直後だった
2008年当時、私はちょうど新車のノアを購入したばかりでした。車両価格は約350万円、頭金として230万円を払い込んだ直後で、手元に残っていた資産は約100万円ほど。今振り返ると、投資を始めるタイミングとしては決して「余裕がある」状態ではなかったと思います。むしろ、大きな買い物をした直後で財布の紐がゆるくなっていた時期だったとも言えます。
それでも投資に興味を持ったのは、後述する先輩とのやりとりがあったからです。もし新車の頭金を払っていなかったら、あるいはもっと余裕を持って投資を始めていたら、と考えることもありますが、結果的にこのタイミングが私の投資人生のスタート地点になりました。
きっかけは先輩からもらった株主優待券
職場の先輩が「これ、使わないからあげるよ」と渡してくれたのが、ゼンショー(7550)の株主優待券でした。すき家などを展開する外食大手です。優待券をもらったこと自体は些細な出来事だったのですが、そのとき先輩に言われた「貯金より株のほうがいいよ」という一言が、当時の私には妙に引っかかりました。
当時の私は投資の知識はほぼゼロで、銀行預金がすべてという状態でした。優待券という「実際に得をした」体験があったからこそ、「株というのはこういう形で還元があるのか」と腹落ちし、自分でも買ってみようという気になったのだと思います。今考えると、これが私にとっての最初の投資教育だったのかもしれません。
初めての株購入:ゼンショーとポケットカード
先輩から優待券をもらったあと、実際に自分の資金で買った初めての株はゼンショー(7550)とポケットカード(8519)の2銘柄でした。ゼンショーは450円、ポケットカードは350円というのが購入時の価格です。どちらも当時の私にとっては「なんとなく知っている会社」「優待がありそう」という、今思えばかなり単純な理由で選んだ銘柄でした。
証券口座を開設するところから始まり、注文の仕方も分からず先輩に聞きながら進めた記憶があります。手元資産100万円のうち、どのくらいをこの2銘柄に投じたのかは正確には覚えていませんが、生活防衛資金を大きく減らすような無理な金額ではなかったはずです。それでも「自分のお金で株を買う」という行為自体が、当時の自分にとってはかなり緊張する体験でした。
注文ボタンを押す直前、何度も画面を見返して確認したのを覚えています。今なら数万円の売買はさほど緊張せずにできますが、当時は「これで失敗したらどうしよう」という不安のほうが大きく、それだけ株を買うという行為が非日常だったということでもあります。
2008年当時の投資環境:NISAもスマホ証券もなかった時代
今の若い世代からすると想像しにくいかもしれませんが、2008年当時はNISA制度も存在せず、スマホで数タップで株が買えるような環境でもありませんでした。証券口座の開設は郵送でのやり取りが中心で、口座開設から初めての注文までに数週間かかった記憶があります。今のように「思い立ったその日に少額から投資を始める」というハードルの低さは当時なく、株を買うこと自体がある種の決意を伴う行為でした。
そんな時代だったからこそ、先輩から優待券をもらって「自分でも買ってみよう」と思えたことは、今振り返ると大きな一歩だったのだと思います。情報源もインターネットの掲示板や証券会社のレポート程度で、今のようにSNSで他の個人投資家の体験談を参考にすることもできませんでした。手探りで、しかも間違えながら覚えていくしかなかったのが2008年の個人投資家の実情です。
含み益1万円で即売り:初心者が最初にやる失敗
株を買ったあと、しばらくして含み益が1万円ほど出ました。今なら「たった1万円」と思えるのですが、当時の私はそれだけで舞い上がってしまい、あっさり利益確定の売却をしてしまいました。
この「含み益1万円で即売り」は、投資を始めたばかりの人が最初にやりがちな失敗の典型だと思います。株価が今後どう動くか分からない不安に耐えられず、目の前の小さな利益を確保したくなる。長期で資産形成をしていくうえでは、この判断が正しかったとは言えません。もし当時のまま保有し続けていたらどうなっていたか、答え合わせはできませんが、少なくとも「利益を早く確定させたい」という初心者特有の心理を、身をもって知る経験になりました。
この経験は、その後18年の投資人生の中で何度も思い出すことになります。含み益や含み損に対する感情の揺れをどう扱うかは、投資額が大きくなった今でも簡単な話ではありません。
優待狙いの買い直しと塩漬け
一度売却したあと、私は優待が欲しくてゼンショー株を買い直しました。ところが、買い直した直後に株価が100円超も下落し、いわゆる「塩漬け株」状態になってしまいました。450円で最初に買った株を1万円の利益で手放し、その後また買い直した株が下落して身動きが取れなくなる。今振り返ると、なんとも間の悪いタイミングでの買い直しでした。
この時期の私は、株価が下がったこと自体よりも、「優待が欲しくて買ったのに、含み損まで抱えることになった」という状況に戸惑っていました。売ろうにも損失を確定させたくない、かといって明確な戦略があって保有し続けているわけでもない。典型的な「塩漬け」の心理状態だったと思います。
塩漬け株のその後:2回の優待、そして売却
結果的に、この塩漬けになったゼンショー株は、そのまま保有を続けることになりました。保有している間に株主優待を2回受け取ることができ、最終的には購入時とほぼ同値か、やや利益が出る価格で売却することができました。
塩漬けになった当初は「失敗した」という気持ちが強かったのですが、結果的には優待という形でリターンを受け取りながら、大きな損失を出さずに手仕舞いできたことになります。もちろんこれは結果論であり、同じような状況が今後起きたときに、同じように待てば必ずうまくいくという保証はどこにもありません。ただ、「塩漬け株を持ち続けるという判断が、必ずしも最悪の結末につながるわけではない」ということを、最初の失敗から学べたのは大きかったと思います。
この経験から今の投資スタイルに繋がったこと
このゼンショー株での一連の経験は、その後の18年間で私が繰り返し立ち返ることになる原体験です。含み益1万円で即売りしてしまった経験は、その後の株式投資で「なぜ今売りたいのか」を自分に問い直す習慣につながりました。優待狙いの買い直しで塩漬けになった経験は、目先の特典(優待)だけを理由に投資判断をすることの危うさを教えてくれました。
今の私は、コアの資産は米国ETF(VOO・VTIなど)に置き、個別株はINPEX・三菱商事・住友商事・アップル・スペースXの5銘柄のみを、いわば「痛くない量」で保有するスタイルに落ち着いています。この考え方の原点をたどっていくと、2008年のゼンショー株での失敗と、そこからの回復の経験に行き着きます。もしあのとき優待券をもらっていなかったら、そもそも投資を始めていなかったかもしれませんし、あの失敗がなければ、もっと大きな金額で同じような失敗を繰り返していたかもしれません。
もし2008年の自分にアドバイスするなら
今の自分が、株を買ったばかりの2008年の自分にひとつだけアドバイスできるとしたら、「その1万円の含み益は、売っても売らなくても、どちらも正解ではない」と伝えると思います。大事なのは売る・売らないの結果ではなく、なぜ売りたいと感じているのかを自分に問うことだったからです。
- 優待や含み益といった「目の前の分かりやすい理由」だけで売買を決めない
- 塩漬けになったこと自体は失敗ではなく、そこからどう向き合うかが分かれ目になる
- 投資の知識は最初から完璧である必要はなく、小さな金額で失敗しながら覚えていける
この3つは、当時の自分に言ってもきっとピンとこなかっただろうと思います。実際に含み益で舞い上がって売ってしまい、優待狙いで買い直して塩漬けにしてしまうという失敗を、身をもって経験したからこそ、ようやく腹落ちした教訓です。知識として先に知っているのと、実際に自分のお金で経験するのとでは、身につき方がまったく違うのだと思います。
まとめ
投資歴18年、資産は2008年の約100万円から現在は7,900万円台まで増えましたが、その原点にあるのは1枚の株主優待券と、含み益1万円で舞い上がって即売りしてしまった、なんとも初心者らしい失敗でした。優待目当てで買い直した株が塩漬けになり、それでも2回の優待を受け取りながらほぼ同値で売却できたという結末も含めて、今振り返ると投資という営みの縮図のような経験だったと思います。
大きな失敗ではなかったからこそ、投資を嫌いにならずに続けられたのかもしれません。もし最初の塩漬けでもっと大きな損失を抱えていたら、その後18年も投資を続けられていたかどうかは正直分かりません。最初の失敗が「致命傷にならない金額」で済んだことも、振り返れば運がよかった部分だと思います。次はこの塩漬け株を含めて、18年間でどんな銘柄をどう手放してきたかについても、いずれ記録として書きたいと思います。
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※本記事は個人の投資体験の記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。資産額は概算であり、正確な数値は伏せています。投資は自己責任でお願いします。詳しくは免責事項をご覧ください。


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